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連坊世話人アルバイトさん卒業記念ブログ

2025年4月5日

春は寂しくも別れの季節であり、卒業される学生アルバイトさんを含め数人がご退職されました。

その中のお一人、Mさんが卒業時に書いてくれた記事をご紹介します。

Mさんは支援者として学生ながらも様々な経験を積まれており、大学4年生の後半から「夜勤のアルバイトがしてみたい」と当社に応募してくれました。

はきはきされ明るく素敵な笑顔のMさん、4月より社会人として過ごされていきます。

当社での経験を糧に、輝かしい未来を切り開いていってくれることを期待しています。

 

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「障害者グループホームアルバイトでの経験・学んだこと」

 

まず初めに、自己紹介をさせていただきます。私は11月から卒業する3月まで、短い期間ではありましたがホームの世話人を務めさせていただきました。大学では4年間、保育を学び、保育士・幼稚園教諭の資格を取得して4月から保育士として2歳児の担任をします。子どもの命を預かり、責任を持って支援をする仕事をするため、学生のうちからより多様な経験を積みたいと思い、児童館、障害者生活介護、障害者グループホームの3つのアルバイトを掛け持ちしてきました。

この仕事をするにあたり、一番難しかったと感じることは、「軽度知的障害者との関わり方」です。冒頭でもお話しましたが、私は生活介護のアルバイトもしておりました。しかしながらその施設の利用者は重度の知的障害、身体障害を抱える人たちが多く、言葉をあえて選ばずに言うならば「あやす」「世話をする」という表現がしっくりくるような、そんな関わりが多かったです。一方、このグループホームの利用者は軽度の方が大半を占め、就労もするし意思疎通するだけならなにも問題がないような、そんな方々でした。初めはどう接したらいいか戸惑うことが多かったです。「普通」という言葉が適切かは分かりませんが、皆様「普通」なのです。生活介護のように子どもと関わるような言葉がけや対応をしてしまえば、「敬意がない」と捉える方もいらっしゃるでしょう。かといって遠慮をし過ぎてしまえば「世話人」としての線引きが、利用者にとって難しくなります。加減が難しく、適切な距離感で関わることが私にとって一番の難関とも言えるべきところでした。

私はまず、皆さんに明るく、平等に、「Mさんと話すのが楽しい」と思ってもらえるような、寄り添う関わりをすることに致しました。ある2人の利用者さんには、たくさん可愛がってもらえました。しかし、Aさんは違い、部屋に鍵をかけていることも多く、表情も暗く、嫌われていると感じてしまうような態度でした。Aさんとどうにか仲良くなりたい、心を開いて欲しいと思い、試行錯誤して様々な声がけを行いましたが、どこか返答が冷たく、距離を感じていました。同じように関わっているのに、こうも利用者さんの対応が違うことに、混乱していたのです。

ある日、他のスタッフさんに相談したところ、Aさんの壮絶な過去を知りました。こんな苦労をされてきた方なら、私のようなヘラヘラした小娘を下に見ても仕方がないと納得できました。私に足りなかったもの、それは利用者さん個人個人の理解と尊重です。分け隔てない接し方は一見素晴らしい対応に見えますが、それは利用者さんの理解が足りず、それぞれに合わせた関わりができていないことになります。私が本来したかった支援は、「寄り添う支援」です。形ばかりに気を取られ、寄り添うことができていませんでした。

ならば、やることは一つです。私は明るく楽しく話すだけではなく、「Aさんのことを知りたい」「尊敬している」「お母さんのように思っている」そんな敬う言葉をかけて労い、尊重する姿勢を懸命に伝えました。そうするとAさんは少しずつ心を開いてくれて、私に労いの言葉をかけてくれたり近況を知りたいと話しかけてくれることが増えました。初めて「お別れがさみしい」と言われた時は涙が出そうになるくらい嬉しかったです。以前までは、そう思っていただけるとは夢にも思っていなかったからでした。

私は、たった数ヶ月でしたが、「寄り添う支援」の本来の在り方を身をもって学べた気がしました。たくさん悩みましたし、傷ついたことも驚いたこともありましたが、どれも素敵で貴重な経験となりました。利用者さんとの日々は私を大きく成長させてくれたと思っております。この経験は絶対、保育士になっても活きると思います。子どもに寄り添い、優しく包んであげられるような、そんな保育士になりたいです。